2 デカルト~スピノザ


(1) デカルトの心身二元論とは


 デカルトの心身二元論とは、精神実体と自然実体は区別され、それぞれが独立したものである。精神実体とは考えることを本質としたもので、感覚、記憶、想像、理解などを行うものである。デカルトは精神実体は自由な主体であり、機械論的自然の外にある、「神の似像」とも言える、より高次な意志作用であると考えた。一方、自然実体は、単なる延長に過ぎず、機械論的因果必然性から逃れられないものである。このため、機械論的自然の内にある身体よりもその外にある精神の方が優位にあるとデカルトは考えた。


(2) その問題点とは


 このデカルトの心身二元論の持つ問題点は精神実体と自然実体との間の因果関係が説明できないことであった。


(3) スピノザの提示した理論とは


 これに対し、スピノザが提示したのは自然因果一元論である。


 スピノザは「実体」が持つ性質として、①それ自身が存在すること(その概念の形成に他のものの概念を必要としないこと)、②他の「実体」から産出されないこと、③自己原因であること(他のもの(「実体」でないものも含む)によって産出されないこと)を挙げ、①②③から、神のみが実体であり、神が他のすべてのものの原因だと考えた。また、スピノザは、デカルトのいう「自然実体」や「精神実体」は、どちらも、唯一の実体である神が持つ、視点に応じた一属性に過ぎず、それぞれの属性ごとに因果的完結性があり、属性相互の因果的独立性があると考えた。


 このように自然因果一元論をとることによって、実体二元論を回避し、デカルトの心身二元論が抱えていた問題を解決しようとした。


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